本読みたろたろの備忘録

洋書を中心に、読んだ本の内容を忘れないように記録します

Malhotra, Smita (2020) The Newborn Handbook: Your Guide to Bringing Home Baby, Rockridge Press

概要

・全体で147ページ。文字大きめ、イラストたくさん。邦訳なし。

・赤ちゃんを家に迎え入れる準備(どんなものを用意しておいたほうが良いか)、出産に向けた準備・心構え、赤ちゃんが生まれてから生後3ヶ月まで、毎週の①赤ちゃんに典型的に何が起こっているかの解説、②その週に親としてどんなことが必要かのアドバイスを記載。

・ポジティブなメッセージ満載、様々な人種や子育て環境(シングルファザー同性カップル等、養子)を念頭に置いたインクルーシブな記載とイラスト。

 

感想

子育ての仕方にはいろんな事情や考え方があるということを真剣に受け止めた上で、絶対こうするべきだということや「お母さんなんだからできる」というような精神論ばかりをあまり押し付けてこない育児本は、英語で書かれたものでよく出会うことができるように思います。こうした本の中でも、本書は特別に素晴らしく、もし今後、私の知り合い(ただし英語にアレルギーがない人)で出産しようという人がいたら、全力でオススメしたいのが本書です。

本書を読んでいて感動するのは、まず何よりも、親が身体的にも精神的にも健康でいることが赤ちゃんにとって一番だというメッセージが繰り返し登場し、ちゃんと休むことや楽しむこと、パートナーとの時間を大事にすべきこと等といったことを明示的に書いてくれていること。読者はとても勇気付けられ、元気になるのではないかと思います。

分かりやすくするための工夫がされているというところも嬉しいポイントです。本当に必要な情報が厳選されているおかげで、本書は、150ページ以下のコンパクトなボリューム。しかも、柔らかいタッチのイラスト(それも、「概要」のところで書いたような大変インクルーシブな!)が多数載っていて、ほっこりさせられます。そして、生まれてから3ヶ月までの赤ちゃんの成長とそのときに起こること・すべきことがそれぞれの週ごとに章を分けて書かれるので、重要なことは繰り返し出てくるし、隙間時間にちょっとずつ読んでいくことができます。

本書を読んでいて特に興味深かったのは、やっぱり米国の文化や制度を前提に書かれている以下のようなところ。

○生後3日目からの自宅での赤ちゃんとの生活が書いてある

→生後3日目で母親も赤ちゃんも退院するということなんだと思いますが、そんなに短い時間で母親の身体が回復するとは到底思えません・・・。

○Must-have itemの筆頭がチャイルドシート

→「これがないと病院から帰れません」ということが書いてあります。日本だと自宅近くの産院で産む場合は歩いて帰ってこれますし、少し遠い場合はタクシーで帰ると思います。そして、タクシーの場合はチャイルドシートがなくても大丈夫のはず。米国は、車を使って病院から自宅に帰るのが普通であるということと、タクシーの場合でもチャイルドシートが必要だということが分かります。赤ちゃん用の石鹸とかベビーベッドとかオムツとかクリームとかが、must-haveのチャイルドシートの後に書かれるというところも興味深かったです。

○Tummy Time!

→"Tummy time"なる謎のワードが頻出します。どうやら、赤ちゃんをうつ伏せに置くことのようで、なんと、赤ちゃんを自宅に連れて帰った週からこの記述があります(最初は1日数回、各3〜5分。これが少しずつ長くなっていきます。)。生まれたばかりの赤ちゃんにはあまりにも酷なんではないかと思いますが、あまりにも普通に、さらっと書いてあるので、きっと米国では当たり前のように行われていることなのでしょう。

この本、本当に良かったです。もちろん米国と日本とでは制度や文化が違うので、日本の文脈を意識した情報を別途入手しておく必要はあるかとは思いますが、いろんなことに対する考え方が自由で、楽しく、実践してみたいと思うことがたくさんありました。